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2017.05.16 Tuesday

“『GIRLS』の乙女心に寄せて” MU 主宰・ハセガワアユム(脚本・演出)インタビュー

 

 

GIRLS』の乙女心に寄せて

MU 主宰・ハセガワアユム(脚本・演出)インタビュー

【interviewer】むつみあき

 

 MUの新作公演『GIRLS』は「乙女心」をテーマにした3作品が、A・Bバージョンに分けて上演される。劇団10周年、メンバーが4人となった新体制、と節目の年になぜ「乙女心」なのか? 早稲田大学演劇倶楽部出身の劇団”the pillow talk”の脚本・演出であり、演出助手を務めるなど最近MUに最も近づきつつある、むつみあき氏によるMU主宰・ハセガワアユムへのインタビューを掲載致します。あらすじや出演者紹介も続々と公開、5/24(水)よりSPACE 雑遊にて開幕です! 大きなネタバレなどはありませんので、観劇のご参考にどうぞ! 

 

 

 おっさんが女性漫画家の作品を読んで「いいな」と思う琴線は、男女の垣根を超えた最高のポップさ。そういう乙女心のフィーリングが一番大事。

 

── 今回なぜこの3作品を選び、『GIRLS』という題名にしたのでしょうか。

 

 MUが4人の新体制になり、新作でいくか再演でいくかって会議をしてて。劇団も10年目だし、再演も結構やってるから自然と絞り込まれて来て(笑) 『ホテル・ミラクル』ってラブホテルを舞台にした人気企画へ脚本提供した『スーパーアニマル』と『初恋は消耗品』が挙がって、『めんどくさい人』も金で男を買ってる話でえげつない台詞がばんばん出てくるからちょうど繋がって、セクシュアリティでちょっとエッチな短編集みたいな、最初のコンセプトは『GIRLS』じゃなくて『PINK』でした。セルアウトへ向けてのこれだ、みたいな(笑)。

 

── たしかに登場する女性のもつ激しさからは『PINK』というのも頷けます。

 

 ある女優さんにこの戯曲たちを読んでもらってお茶してたとき『女優とはなんなのか』という話題になって。それは女優の魅せ方のことでもあり、ひいては戯曲の本質の話になって、目から鱗が落ちて。セクシャルな売り出し方もありだけど、この戯曲たちの間口ってそれだけじゃないじゃん、って見直すことにして。それでこの戯曲たちの本質から『乙女心』を再発見したとき、これだ、と。一部設定を変え、主役のガールズたちの年齢層や幅を広げて、『PINK』じゃなくて『GIRLS』に路線変更しました。

 

── 設定の過激さより、”乙女心”の本質を意識した題名だったんですね。

 

 そうですそうです。

 

 

── 3作品とも特殊な状況に置かれた女性を中心にお話が進みますが、なぜそのような女性を描こうと思ったのですか?

 

 女性作家がフツーに乙女心を書いたら、「付き合った男がダメ男だった、けど頑張る自分応援、しかも自分好き」みたいなのが多くて、自分は男だしそういうの冷めちゃう(笑) もっと違う視点の乙女心ないのかなぁって。なんか片方の異性を腐す表現を正したいというか、男でも楽しめる乙女心を。『誰もが疼く乙女心』ってフライヤーのコピーにも書きましたし、岡崎京子や安野モヨコ、南Q太、入江紀子、最近だと渡辺ペコがよかったんですが、僕がそんな女性作家をいいなって思う琴線は男女の垣根を超えた乙女心だと思いますから。そういう誰にでも通じるフィーリングが一番大事。女性が大半の読者層なのに、男性読者にもウケるって最高の偉業でその乙女心を目指す。僕みたいなおじさんが女性漫画を描くような変態性と、男女両面がハイブリッドな感じ、このオリジナリティこそがMUのポップさじゃん、と。

 

 ちなみに『初恋は消耗品』の優菜が「どうせ結婚する訳ないから初恋なんて意味なくね」って発想は、これは完全に自分(笑) 結婚がひとつのゴールだとして、若い頃にした恋愛がひとつ終わった当時、あまりにも辛すぎて。「30(歳)で結婚するとしても、平均二年付き合って別れるとして、こんなもんがあと4回以上続くなんて、絶対死ぬ」って友人の前で大号泣。完全に乙女じゃんって今じゃ笑えるんだけど。そういう血肉ももちろん切って乙女に加工してます。

 

── アユムさんの”乙女心”が垣間見れるわけですね(笑)。

 

 

 虚無っ子、達観してるJK、恋愛音痴の妙齢女性。

 何かを抱えた女性像の振り幅は揃ってる(笑)

 

 

── 『めんどくさい人』では、男性売春夫が女性に振り回されていて、典型的な男女の恋愛のイメージを逆転させて描いているように感じました。そのことに何か狙いなどあれば教えて下さい。

 

 「セックスより会話が多くないか?」って言う台詞を女性がイライラしながら言うの、完全におかしいですもんね。フツー、女性は「会話よりセックスが多い」って拗ねたりするのに。ねじれてる。男性がセックス、女性が会話、と求めてるのが一般的なフツーだとして、それが反転したとき笑えるのが批評的なユーモアなんだと思います。

 

── 2010年以来の再演となりますが、変更点などは?

 

 ヒロインの花恵は普遍性を持たせようとキャラクター造形を変えました。真嶋一歌ちゃんの時折見せる表情というか、それを切り取ったのがフライヤーなんですけど、浮遊感のある虚無ぶりや小動物みたいな居座り方はハマってる。あと泥水啜ってる人間たちが、金でなんでも解決して男まで買ってる花恵のことを超越した存在として惚れたりするんですけど、なぜ好きになるのか、という部分をより加筆してあります。常に、なにが観客にとってポップなんだろうと考えてるんですが、今回は泥水側でしたね。

 

── 『スーパーアニマル』『初恋は消耗品』は、『ホテル・ミラクル』という企画に書き下ろした作品とお聞きしました。MUの稽古ではエチュード(即興劇)などを行いながら、役者のもつ良さを脚本に反映させて行くというイメージがありますが、外部提供脚本となるとそうはいかないと思います。その2作品はどのように執筆したんですか?

 

 僕のエチュードは独特で、物語の実験だし、ここ数年でそういうモードに辿り着いただけで、実はMU初期は「エチュードなんて死んでもやらない」って硬派な書き方してました。だから、そのときの孤独に戻るだけです(笑) 

 『少年は銃を抱く』(2015年上演)という「高校生たちの銃を巡るジュブナイル」な、イイ話の稽古の前に、早朝コンビニのイートインでJKのエンコーものの『スーパーアニマル』をiPhoneで書いてました。変態ですよ(笑)

 

── 携帯小説を書く女子高生みたいですね、題材もエンコー(笑) 各作品、そして、メインとなる女優さんの見所を教えて下さい。

 

 Twitterでも紹介しているので、そちらも見て頂きつつ。やはり主演の3人が三者三様でしかもハマっているとこですね。虚無っ子に、達観してるJK、恋愛音痴の妙齢女性と、ほぼほぼ何かを抱えた女性像の振り幅は揃ってる感じはします(笑) そしてそれを支える俳優たちも。MUメンバーはもちろん、みんな曲者揃いです。特に橋本くんの少年性のある売春夫、怪しすぎて逆に親しく感じる兎洞くんとか、MUのなかでも新しいキャラクターです。

 

── 決して美しい状況ではありませんが、多くの男性が、このような女性達と一度は恋愛をしてみたいという願望があるんじゃないかと思わせるような女性達だと感じました。

 

 それは嬉しい! いやあ、恋すると大変だよね。劇中の人みたいな道を歩むから。だからフィクションのなかで体感してもらえればと(笑)。

 

 

── A、Bバージョンとありますが、それぞれどのような人にオススメですか?

 

 まず、『めんどくさい人』は、A、B共通の演目ですので、両方見た人も楽しめるように、主役の真嶋一歌ちゃんの衣装が違います。ゾンビゲームの『バイオハザード』と同じですね。クリアした二週目は違う衣装が選べるという。ふふふ。

 

 Aのカップリング作品『スーパーアニマル』は、あえてほとんどそのままやりますから、ラブホテルが舞台でピンクのエッジが効いてる。Bのカップリング作品『初恋は消耗品』は、主役をJKから27歳へ変更、ラブホテルから雑貨屋の事務所に変更して、マイルドになりました。

 90年代の音楽は「リミックス」がブームだったんだけど、原曲のサビだけしか残ってないようなリミックスとか多くあって。ああいうノリです。骨子は残しつつ、ほぼほぼ書き直しという(笑) 初演を観た方も新感覚なんじゃないかなと。どちらも興味のある方から見て頂き、気に入ったらもうひとつも是非という感じです。が、公演期間も短いので、できればセットチケットがお得なので大人買いをおすすめしちゃいます。

 

 

 MUは、鑑賞から体験へ。

 

 

── MU新体制になってから初めての公演となりますが、なにか思う所はありますか?

 

 演劇は、好きな俳優目当てで劇場に足を運ぶ人が多いので、所属俳優が増えたいま、それを目指すことを大きく意識してます。僕としては、いままで常連として参加してもらっていた力強い3人なので、さらに輝いてもらうことが、劇団にとっても、劇作にとっても、いい影響を与えてくれると信じてるので心強いです。また、観劇ビギナーの方とかね、新規でMUに興味を持ってくれた方、また久々に観ようかなって方も、あらすじやフライヤーの写真を見て、ピンと来たら100%信じて来て欲しいんですよね。僕は『物語』を書くことを命題としてるから、その発端である、あらすじや写真に全力を注いでる。それさえ信じてくれれば、あとは、信頼してる俳優が舞台にいるので。それは全部が繋がっている。その全部繋がってること自体が、体験だと思います。劇団を追う、という行為も体験だし。メンバーが増えたことで『鑑賞』から『体験』へ。そういう劇団になるべく動いています。

 

── 笑いの耐えない稽古場の中で、時折見せるアユムさんの乙女心が潜む演出に、出演者一同楽しみながら、本番へ向かっております。ぜひSPACE 雑遊にお越し下さい!!

 


 
■公演情報
MU『GIRLS』
2017年5月24日(水)-30日(火)
at SPACE雑遊


■脚本・演出
ハセガワアユム(MU)

■出演
真嶋一歌(リジッター企画)、小島望、温井美里(劇団天動虫)、青木友哉(MU)、古市みみ(MU)、成川知也(MU)、橋本昭博(MoratoriumPants)、浜野隆之(下井草演劇研究舎)、兎洞大

出演者一同のTwitterリストはこちら!
https://goo.gl/04tuEE 

 

写真(左より)
→フライヤー。都内劇場を中心に配布。演劇ぶっく6月号にも掲載中!
→『めんどくさい人』イメージカットとあらすじ。
虚無が充満するマンションで花恵は男を買っている。
その金で何でも解決する姿をまぶしく感じた男たちが言い寄るも、花恵は「ストレスで生きているだけで発狂して死ぬ美しい青い鳥」を捕まえて来いと、無理難題を命じるのだった…
→『スーパーアニマル』イメージカットとあらすじ。

聖花はJKにしては思慮深く、若いなりに憂い、夢の為に達観し、中年の菅原と秘密の交際をし、きちんとコンビニでバイトしてる。カメラが趣味の菅原に「綺麗に撮ってね」とねだった写真をそこでも眺めながら、きちんと。の、はずだった…
→『初恋は消耗品』イメージカットとあらすじ。

優菜は27歳、初恋はまだない。写真の専門学校に通い、おしゃれ雑貨屋でバイトしている。「初恋は結婚まで実らないから意味なくね?」と気づいた優菜は、焦り、恋愛の練習のために、雑貨屋の店長に白羽の矢を立てる…

 

MU『GIRLS』2017.5.24-30 atSPACE 雑遊

コンセプトは、誰もが疼く乙女心。前売り好評発売中!

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